こんにちは、ザビリオです。
先日、dp1 Quattroを改めてレビューするという記事を更新しました。
Quattroシリーズで使ったことがあるのはdp1のみなのですが、それ以前ではDP MerrillシリーズのDP1, DP2, DP3を長く愛用していました。
Quattroシリーズに負けず劣らず今でも良いカメラだと思っているので、今回はDP Merrillシリーズについて改めてレビューしたいと思います。
Foveonセンサーについて
DP Merrillシリーズの最大の特徴は、通常のカメラで広く使われている4画素の面積でRGBを認識するベイヤーセンサーと異なり、1画素の面積内で垂直方向にRGBを認識するFoveonセンサーを搭載している点にあります。
このFoveonセンサーについては、先に更新したこちらの記事で触れていますので、こちらをご覧ください。
DP Merrillシリーズについて
Merrillシリーズに搭載されているFoveonセンサー
DP MerrillシリーズはFoveonセンサーを搭載したコンパクトデジタルカメラ(=コンデジ)の製品群です。DP Merrillシリーズには、Foveonセンサーの中でも2番目に新しいMerrillセンサーが搭載されています。
先に挙げた記事の中でも紹介しているのですが、最新のFoveonセンサーはQuattroセンサーと呼ばれるシリーズで、dp Quattroシリーズに搭載されています。
「最新が別に出ているのであれば最新を買うのが良いだろう」、となりがちなところなのですが、最新のQuattroセンサーと1世代前のMerrillセンサーではセンサーの構造が異なり、撮れる写真の雰囲気が異なるために両方のシリーズに根強い人気があるというのが現状です。
詳細は冒頭のリンクを参照いただきたいのですが、Merrillシリーズは垂直方向に積層されたRGBの画素数が1:1:1であるのに対し、Quattroセンサーでは1:1:4となっています。
RGBの画素の合計としてはQuattroセンサーはMerrillセンサーよりも画素数が少ないのですが、Quattroセンサーのほうが情報の取り扱いが合理化されており、Merrillよりも少ないデータサイズでより解像感の高い画像を出力できることに特徴があります。(※ベイヤーのように補完をする訳では無いようです)
これに対し、Merrillセンサーは小細工無しですべての情報をすべての画素で読み取り、大きなデータサイズでストレートに画像を出力するイメージでしょうか。
このセンサーの構造の違いからか、QuattroセンサーとMerrillセンサーには異なる味わいがあります。また、Merrillセンサーの1:1:1構造はイメージが掴みやすく、根強いファンが居てQuattroに劣らず中古価格が高い価格帯で推移しているという状況があります。
画角の異なる3種類のレンズ固定式カメラ
先に述べたとおり、DP Merrillシリーズはコンデジであるため、レンズが本体に固定されています。
そのため、レンズ交換ができない機種になるのですが、画角の異なるレンズをもった3種類の製品がラインナップされています。
カメラ | DP1 | DP2 | DP3 |
焦点距離 (レンズ) | 19mm | 30mm | 50mm |
焦点距離 (35mm判換算) | 28mm | 45mm | 75mm |
開放f値 | f2.8 | f2.8 | f2.8 |
画角の特徴 | 広角 | 標準 | 中望遠 |
購入するとレンズ交換ができないものの、広角・標準・中望遠と用途の異なる3製品がラインナップされており、自分に合った1台を購入して使い倒したり、全部買った中から自分の用途に合わせてカメラを変える楽しさがあったりします。
SIGMA関連のなにかの講演で聞いた「一眼レフやミラーレスはレンズ交換式カメラシステムだが、DPシリーズはカメラ交換式カメラシステムだ」というフレーズが非常に的確で強く印象に残っています。
DP Merrillシリーズの良いところ
Quattroに負けない描写(主観です)
Merrillシリーズの良いところの1つ目は、Quattroシリーズに負けない描写力です。
MerrillとQuattroで同じ場面を撮った写真があまりなかったのですが、近い写真として以下の2枚がありました。
撮影した位置はdp1 Quattroの写真のほうが前方ですので、Quattroの写真のほうがやや拡大気味に写っているのは残念なところですね…。色味に関しては、DP1 Merrillで編集した設定をコピーして、dp1 Quattroのデータに貼り付けて明るさだけ調整しました。
SIGMAの公式としても、解像感としてDP Merrillがベイヤーセンサー3,000万画素相当、dp Quattroがベイヤーセンサー3,900万画素相当の解像感とされているので、スペックとして解像感はQuattroセンサーが有利なんだと思います。
ただ、撮った写真から受けるカリカリ感はQuattroセンサーと異なった表現になっていて、Quattroに負けず劣らずの画像を吐き出しているように見えるのですが、いかがでしょうか?
あくまで主観的な感想なので、この部分に同意いただけるかどうかは人によるとは思います。でも、同意できる方にとってMerrillシリーズは楽しいカメラになってくれると思います。
本体のコンパクトさ
続いての良い点は本体のコンパクトさです。
dp Quattroは本体サイズが大型化しており、携行性はMerrillよりもやや悪化しています。
参考までに、SIGMAの公式サイトに記載されている寸法で標準レンズのDP2同士でMerrillとQuattroを比較すると、その寸法の違いは以下のとおりです。
幅 | 高さ | 奥行 | |
DP2 Merrill | 121.5mm | 66.7mm | 59.2mm |
dp2 Quattro | 161.4mm | 67.0mm | 81.6mm |
Quattro/Merrill比 | 1.33 | 1.00 | 1.38 |
幅、高さ奥行きすべてでdp2 Quattroのほうが大型化しています。
高さはほぼ同等ではあるものの、Quattroの幅と奥行きはMerrillに対してそれぞれ1.3~1.4倍に大型化しています。Quattroの奥行き寸法に関してはレンズとグリップが逆向きにせり出していることが原因だとは思うのですが、幅に関してはシンプルに大型化しており、鞄の中にQuattroを忍ばせる際に専有する体積はMerrillに対してかなり大きくなっているように思います。
コンパクトさのみで考えると、センサーサイズの小さい初代DPシリーズやDPxシリーズのほうが当然小型なのですが、現時点で1:1:1センサーの完成形と言えるMerrillセンサーを持ち長らにして、コンパクトさではQuattroを上回るという点は評価に値する点であると思います。
Ulyssesケースを装着したときの格好良さ
Merrillシリーズでもう1つ良い点に挙げられるのは、サードパーティーから販売されていたアクセサリ類を着けると思いのほか格好よくなる点です。
本体そのものは無骨な箱という形のデザインなのですが、渡しの場合はUlysses製の専用ボディーケースと、レンズフード、純正の光学ビューファインダーを装着したフォルムがかなり気に入っていました。
Ulyssesのボディーケースについては既に新品の製造は終了しているため、新品を入手することができないのですが、メルカリなどを見ていると時折中古品が出回っていたりします。
ボディーケースを装着するとデザインが良くなるとともにグリップも改善して、一気に持ち出す楽しさがアップします。
DP Merrillシリーズの悪いところ
夕方には手持ちができない、圧倒的鳥目センサー
悪いところの1つ目は暗所耐性の低さです。
Foveonセンサーは垂直方向に3層積層されているため、暗所耐性が低いと言われています。
Merrillシリーズでは実用できるのはISO400までとも言われていて、ISO800以上に上げるとそれなりのノイズが乗ってきます。
この写真はISO800で夜に手持ちで撮ったRAWデータから、そのまま編集無しでJPEGに書き出した写真です。
灯りがあたっている部分や雪が背景になっている部分を見ると、色ノイズがそれなりに乗っているのが分かります。状況によっては帯状のバンディングノイズというものも乗ることが多く、「夜間はISO100×三脚」というのがほぼ前提になってきます。
公称97枚の虚弱バッテリー
次いでの残念な点は、バッテリーが全然もたない点です。
Foveonセンサーは開発当時から大容量の画像処理に電力を消費する問題があったらしく、電池のもちが悪いというのが課題だったそうです。
どれだけもたないかというと、公称で97枚。初期の新鮮なバッテリーを使っても、満充電で97枚しか撮影できないそうです。
当然、バッテリーは充電を繰り返すと劣化していくので、常用しているともっと少ないと感じることもありました。
SIGMAの結論は、「電池もちが悪いなら2個つけよう」というものだったらしく、新品のカメラを購入するとバッテリーが2個付属する仕様に落ち着いたそうです。しかも、「新発売のキャンペーン期間中なら、バッテリーがさらに2個ついてくる」的な催しもあり、発売当初に購入した人は何もしなくても4個のバッテリーが付属したとか。
当時の記事があるようだったのでリンクを貼ってみます。
SIGMA自身も認めたうえで弱点をカバーする対策を提示しているほか、他の機種に比べてバッテリーが安い(1,000円くらい)ということもあり、たくさんバッテリーを持ち歩けば大きな問題にはならなかったのですが、都度都度バッテリー交換が必要というのは撮影途中に一手間が発生するという意味で確かな弱点だったなと思います。
型落ちして純正バッテリーは手に入らないのですが、サードパーティー製のバッテリーであればAmazon経由で購入可能なため、「BP-41互換」のバッテリーを検索するとよいかと思います。
※DP2 Merrillだけはバッテリー形状が特殊で、購入の際には注意書きの確認が重要です
まとめ
今回は自分が愛用していたMerrillシリーズを改めてレビューしてみました。
Foveonセンサーの最新機種はQuattroになりましたが、センサーの構造の違いや撮れる写真の味わいの違い、Quattroセンサーにはないコンパクトさやアクセサリを装着したときの格好良さなど、DP Merrillシリーズは型落ちした今でも愉しみがいのある機種だと思います。
もちろん型落ち機種として、高感度耐性やバッテリーの持ちにQuattro以上の弱点があることも事実なのですが、この弱点を受け入れつつ、じっくり構えて1:1:1構造のFoveonを楽しむという点では、発売から10年以上経った今でも面白いと思えるカメラなのかなと思います。
現状の中古相場がほぼほぼ新品定価近傍の価格帯で販売されているDP Merrillシリーズですが、購入を検討されている方のご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。