Leica CL

いま改めてLeica CLをレビューしてみる

こんにちは、ザビリオです。

私はSIGMA dp QuattroやLeica D-LUXといったコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)を使うことが多いんですが、ミラーレスではライカCLを愛用しています。

先日CLシリーズは開発終了したことが発表されたのですが、私にとっては今でも使い続けられるカメラです。

ライカのカメラは他社に比べて時間が経っても人気が衰えにくく、中古で購入して使ってみたいという人もいるかと思うので、使い始めてから5年目時点でのレビューをしてみたいと思います。

結論としては、メリットは「質感と重みから得られる”撮る楽しさ”」で、デメリットは「他社同等製品と比べたときの”圧倒的高額さ”」だと思います。

それではレビューしていきます。

ライカCLについて

ライカCLはライカTと同じくAPSセンサーを持つTLシステム

ライカCLは2017年12月16日に発売された、APS-Cセンサーを持つLeica製ミラーレスカメラです。

それ以前はライカT、ライカTLが同じくAPS-Cのミラーレス機として発売されていて、これらのカメラが持つマウントをTLマウントと呼んでいました。ライカTはaudiがデザインしたことが話題になったモデルで、TLはTと同じデザインでスペックを向上させた機種となっていました。

一方あとから発売されたCLはデザインがそれまでのライカ製品の特徴を持ったデザインとなっており、斬新なデザインのTLと伝統的なデザインのCLの両輪でTLシステムが構成されていました。下の写真が当時のライカのカタログ「LEICA APS-C SYSTEM」の中の1ページです。

TLシステムが登場したあと、同じマウントでフルサイズセンサーをもつ「SLマウント」と呼ばれる製品群が登場し、両者を併せて「Lマウント」と括られるようになりました。

スペック

スペックの詳細はライカ公式サイトの中のライカCLページに公開されています。ざっくり述べてしまうと、LマウントのAPS-Cセンサーを持つ2,400万画素のカメラといったところでしょうか。

主だったところを抜粋すると以下のとおりです。

型式APS-Cデジタルシステムカメラ
レンズマウント ライカLバヨネットマウント方式
対応レンズライカLマウントを搭載したレンズ
撮像素子APS-Cサイズ CMOSセンサー(23.6×15.7mm)
総画素数:2496万画素 有効画素数:2424万画素
記録画素数DNG:6016×4014画素(2400万画素)
JPEG:6000×4000画素(2400万画素)
ISO感度オート、ISO 100~50000
オートフォーカスコントラスト検出方式
AFモード1点、多点、スポット、顔認識、タッチAF機能付き
シャッタースピード30~1/8000秒(メカニカルシャッター使用時)
1/25000秒(電子シャッター使用時)
連続撮影約10コマ/秒(メカニカルシャッター使用時/電子シャッター使用時とも) DNG+JPEG時は約34枚以降、JPEG時は約141枚以降に速度が低下(使用するメモリーカードの種類により異なる)
液晶モニター3.0型TFT液晶モニター ドット数:104万ドット タッチパネル式
ファインダードット数:236万ドット(1024×768ドット) 
本体トップカバーおよびベースプレート:アルミニウム削り出し(アルマイト仕上げ)
フロントカバーおよびリアカバー:マグネシウム製
寸法  131×78×45mm(幅×高さ×奥行)
質量403g(バッテリー含む)/  約353g(バッテリー含まず)

最近ではスマホでも4,000万画素以上のものがあったりするので高画素を求めると物足りないかもしれませんが、画素を追求しなければ十分キレイに見える画素数です。

個人的には好きな写真家のセイケトミオさんが1,000万画素のM8を使って撮った雰囲気のある写真を公開されているのを見ていたので、2,400万なら十分、と思っているフシがあります。

TLシステムの生産は完了している

TLシステムに属するライカCLですが、TLシステム自体は新たな製品の開発が終了しているようです。

そのため、新たなTLレンズやスペックアップした最新機種などは発表されないようです。

一方、CLはLマウントのカメラではあるので、Lマウントアライアンスの中でシグマが発表しているAPS-C用Lマウントレンズがある他、その他フルサイズ用のSLマウントやシグマ、パナソニック製レンズなどは新たなレンズが発売されるので、装着してバリエーションを楽しむことはできます。

そのほか、マウントアダプターを介してMマウントレンズやオールドレンズなんかを楽しむ用途ではまだまだ使えそうですね。

良いと感じる点

概要の説明が長くなってしまったのですが、ここからは実際に使ってみて良かったところを紹介していきます。

デザイン・質感が良い

個人的に一番の良い点はデザインだと思います。

出力する画像と直接関係がない要素にはなってしまうのですが、バルナックライカを連想させるようなライカの昔ながらのデザインが踏襲されていて、ライカ好きにとってはグッと来るデザインになっていると思います。

また、持ったときにズッシリと来る重さや金属の冷たさも高級感を連想させて、持っている喜びのようなものがあります。

写真を撮る行為自体はどのカメラでもできるわけなのですが、「写真を楽しむ」という観点に立てば、使う道具は使ってて楽しくなれる道具の方が良いことになると思います。

センサーサイズ、画素など基本的なスペックに満足できるとすれば、性能以外に好きになれるポイントを持っているという事は写真を楽しむための道具として良い候補になれる道具であるという事だと、個人的には思います。

撮って出しの色味が控えめで良い

次の良い点は色味です。

私が最初に使ったライカカメラはX-E (Typ102)でした。

その時は撮って出しのJPGをInstagramアプリ内でちょっとだけいじってそのままアップするということをしていたのですが、その撮って出しの色味が好きで、撮って出しのJPGを使うときはライカのカメラで撮りたいなと思っています。

具体的に何が良いかというと、(主観的ですが) かつて他社製のカメラを使っていたときの色味よりも落ち着いた色味で出力されることが多いという点です。

とはいえ、ライカX-EやライカTと比べると彩度は高くなっているようにも感じます。個人的にはライカX-Eの色味が好きなのですが、CLも楽しめると思っています。

これに関しては見る人によって感じ方は千差万別かと思いますので、実際の撮って出しの画像を数枚貼っておきます。

Leica CL + VARIO ELMAR f3.5-5.6/18-56 の撮って出し例

Leica X-E (Typ102)の撮って出し例

RAW現像をするとなると色味の部分はあとから編集できる部分が大きいですが、撮って出しをそのまま使う用途の場合は色づくりも特徴の一つになるかなと思います。

Lマウントのレンズが使える

最後は、先にも触れた通りLマウントを使えるという点です。

ライカ、シグマ、パナソニックはLマウントアライアンスで協業しているので、TLシリーズが生産完了してもLマウントとしてのレンズ群はまだまだ拡張されていきます。

ライカレンズはボディ同様に高めの価格設定になっている中で、シグマがAPS-C用Lマウントレンズをいくつか出してくれているのがありがたいところです。

とはいえ、LマウントカメラでAPS-Cセンサーを持つカメラがCLだけだったので、今後発表される製品でAPS-C用レンズがどれだけ出るかは微妙なところですが…。

Lマウントのメインとなるフルサイズ用レンズの中でも、コンパクトがウリのシグマのIシリーズなんかはCLに装着してもバランスが良い印象で、新しいレンズはまだまだ期待できそうです。(写真はIシリーズの45mm/F2.8 DG DNを装着したところ)

良くないと感じる点

アクセサリを含め、他社同等品に比べて価格が高い

CLに限らずライカ製品を買う場合について回るのが値段の話です。

Leica CL用にLeica SF60のフラッシュを購入」でも触れましたが、ライカ製品は同じスペックの製品でもブランドの神通力で価格がグッと押し上げられています。

Leica SF60はNissin i60Aと同等の製品(NissinのOEM)らしいのですが、SF60の価格はi60Aのおよそ2倍になっています。

また、私が愛用しているLeica D-LUX (Typ 109) もPanasonicのOEMでLX100と同等品なのですが、発売時の価格はデジカメWatchの情報でLX100が約10万円(引用元)であるのに対し、D-LUXが約17万円(引用元)と約1.7倍の価格設定で発売されています。

中身はほぼ同じ同等品であるにも関わらず価格面で倍半分の差が出てしまうことを許容してでも、メリットに挙げたデザインや撮影を楽しむ要素が勝ると感じられるかどうかが買って後悔しないかどうかの分かれ目に感じます。

Mマウントのレンズでも使えないものがある

これは実際にレンズを購入して発覚したのですが、TLマウントにMマウントアダプターを装着してMマウントレンズを使おうとすると、使用できないレンズがそれなりにありました。

どうやらレンズの後ろ玉がマウント面よりもカメラ内部に向けて大きくせり出す構造になっていると、センサー側の部品に干渉してフォーカスリングが一定以上動かなくなってしまうようです。(リンク先の例では、3mより遠方にピントを合わせられなくなりました)

お店の人に聞くと、ライカ製のMレンズでも広角レンズなどは後ろ玉がせり出すものが多く、マウントアダプターを用いても装着できないものがあるようです。

元々オールドレンズ遊びをしようと思ってミラーレスを購入した自分としては、ちょっとショックが大きい出来事でした。(ちなみにこの時装着できなかったレンズをEマウントのαNEX-5にあてがってみると、特に干渉なく装着することができました。)

ライカの伝統的なフォルムを持ったミラーレスで、M型ライカよりも安価にいろんなレンズを楽しめるというのは利点なのですが、35mm判換算で焦点距離1.5倍になってしまうのに加えて利用できる広角レンズ自体が少ないというのが、CLを使ったMFレンズ遊びのネックなのかなと思います。

まとめ

今回、私が愛用しているライカCLのレビューを改めて書いてみました。

良いと感じる点は、

  • デザイン・質感が良い
  • 撮って出しの色味が控えめで良い
  • Lマウントのレンズが使える

の3つです。

良くないと感じる点は

  • アクセサリを含め、他社同等品に比べて価格が高い
  • Mマウントのレンズの中でも使えないものがある

の2つです。

機能的なものを求めるのであれば他のカメラメーカーの製品がコスパもよく、ライカCLは選択肢として不適だと思います。

ですが、ライカのブランドやデザイン、色味に関心があるのであれば、M型やSLよりも価格が安く、伝統的なデザインをしているCLは良い選択肢になると思います。

APS-Cセンサーを使ったTLシステムは販売終了となったものの、中古はまだまだ手に入る状況です。CLを購入しようか迷っている人の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。