カメラ雑感

Leica M EV1について思うこと

こんにちは、ザビリオです。

発表から約1ヶ月ほど経ちましたが、10月下旬にLeicaよりM EV1が発表されました。

ライカ公式サイトより引用

レンジファインダー式であることが特徴の一つであるM型ライカからレンジファインダー(RF)を省き、電子ビューファインダー(EVF)式となったところが驚きでした。

私はM型ライカは所有していないものの、「いつかは買いたいカメラ」の立ち位置で、憧れに近い目線で新機種発売のニュースなどを見ています。

M EV1の発表を受けて、M型ライカの大きな特徴の一つであったRFが省かれたところに議論があるようでしたが、ザビリオ的にはM型の存在意義は「Mレンズ特化」という点にもあるイメージでしたので、感想をつらつらと書き綴ってみたいと思います。

基本的にカメラの技術的な知識などには詳しくない素人の感想ですので、優しい目でご覧いただければ幸いです。

M型レンズについて

最初のM型ライカは1954年に発売されたM3で、Mレンズのマウントもその時代から使われています。当然、この頃はデジタルのカメラなどは存在しておらず、この頃のカメラやレンズはフィルムを前提として設計されています。

M8以降のM型ライカではデジタルになったものの、マウントは当時と変わらずMマウントが採用されており、フィルムカメラ時代のMレンズを装着して使用することが可能です。

しかし、フィルムとデジタルの一般的な違いの一つとして、フィルムの場合は光の入射角を気にする必要がないのに対し、デジタルのイメージセンサーでは光がセンサーの正面から当たる必要があるようです。

そのため、フィルム時代のレンズの中には、中心から離れるほど光が斜めに入社する設計のものがあり、このようなレンズをデジタルのカメラに装着すると、周辺部で画像が乱れてしまう場合があるようです。

この周辺減光などの乱れをレンズの味とみなして楽しむこともできますが、本来の画作りとは異なった形になっていると言えると思います。

M8からフィルム特性の再現に心血を注いでいる

これらの弊害に対してはM型ライカがデジタルになったM8の頃から対策されているらしく、M型ライカのセンサーはセンサー周りにマイクロレンズを配置してセンサーへの入射角を調整するなどして対策しているようです。

少し長いですが、解説されているサイト(英語)をGoogle翻訳付きで引用します。(太字はこちらで編集しています)

The version for M cameras includes microlenses around the edges of the sensor that effectively suppress the vignetting, smudgy corner detail, and red and green false color at the corners (referred to colloquially as Italian Flag Syndrome) that certain M-mount lenses may show on digital sensors. You won’t have to worry about this with every lens, but many optics, including the present-day Summilux-M 35mm F1.4 ASPH. and vintage lenses like the Super-Angulon 21mm F3.4, suffer when adapted to other camera systems. This is because they have deep recessed elements that are quite close to the sensor, which makes light at the corners come in at a steep angle. In the film era, this didn’t matter, as celluloid doesn’t care about incoming angles, but digital sensors require light to hit the sensor straight on, so the microlenses are beneficial for select optics. If the rear element of your lens protrudes past the M bayonet mount, it will likely benefit from the M EV1’s sensor.

Digital M cameras have used microlenses since the start, but I’m stressing the point again here because the EV1 more directly competes with mainstream mirrorless cameras.

↓Google翻訳↓

M カメラ用のバージョンには、センサーのエッジの周りにマイクロレンズが装備されており、一部の M マウント レンズがデジタル センサーで表示する場合に表示される可能性のある周辺減光、四隅のぼやけたディテール、四隅の赤と緑の偽色 (口語ではイタリア国旗症候群と呼ばれます) を効果的に抑制します。すべてのレンズでこれを心配する必要はありませんが、現在の Summilux-M 35mm F1.4 ASPH. や Super-Angulon 21mm F3.4 などのビンテージ レンズを含む多くの光学系は、他のカメラ システムに適合させると問題が発生します。これは、センサーに非常に近い位置に深く埋め込まれた要素があるため、四隅の光が急な角度で入射するからです。フィルム時代は、セルロイドは入射角度を気にしないのでこれは問題になりませんでしたが、デジタル センサーでは光がセンサーに正面から当たる必要があるため、マイクロレンズは特定の光学系で有効です。レンズの後部要素が M バヨネット マウントを超えて突出している場合は、M EV1 のセンサーの恩恵を受ける可能性があります

デジタルMカメラは当初からマイクロレンズを採用してきましたが、EV1は主流のミラーレスカメラとより直接的に競合するため、ここで改めてこの点を強調しておきます。

その他、センサー部分の深さ自体も調整しているらしく、以下のサイトでわかりやすく図解してくれています。(以前、このサイト以外でも図解されているのを見た気がするのですが、紙面であったかのか、ネット上を探しても見つけられませんでした)

M型ライカがセンサーの受光特性をフィルムに近づけるために心血を注いでいるという話は、以下のサイトでも掲載されていましたので引用します。(太字はこちらで編集しています)

マウントアダプターさえ用意すればオールドライカレンズを各社のミラーレス機で楽しむことがすっかり一般化してきたわけだが、それらは単に「ライカレンズを取り付けて写せる」という話であり、ライカレンズの持つ個性や素性が必ずしも画像に正しく反映されているとは言い切れない。なぜなら古いライカレンズは、当然だがフィルムで使われることを前提に設計されており、そうした設計のレンズをデジタルで使っても、イメージセンサーへの光線の入射角度やもろもろの問題のために、フィルムで使ったときとはまた別の結果になるからだ。

ところがライカの場合は、初代デジタル機のライカM8からイメージセンサーの受光特性を可能な限りフィルムに近づけることに心血を注いでいて、その「フィッティング具合」はライカM8→ライカM9→ライカM(Typ240)と代を追うごとに進化。最新のライカM10ではかなりのレベルに達しているのだ。もちろん、それでもフィルムの特性と完全に一致するわけではないが、他のミラーレス機と比べ、もっともライカMレンズの素性を正確に再現できるデジタルカメラなのは間違いない

デジタルのM型に使われているイメージセンサーは、ライカM8から最新のライカM10に至るまでいわゆる”汎用品”ではなく、「ライカMデジタル専用」に設計・製造されたデバイスだ。ドイツ・ウェッツラーで行われたライカM10のローンチパーティ会場でたまたま立ち話ができた技術者によると、その”専用設計”の度合いはハンパでなく、センサーの前面に配置されるマイクロレンズのオフセット角度から、一説によると1mm以下という極薄のカバーガラスまで、とにかく通常のデジタルカメラ用センサーとは色々な面でかなり違うようで、これを作れるセンサーメーカーは限られるとのこと。

M型ライカの特徴

以上のことを考えると、M型ライカの特徴はRFやクラシカルな見た目、ブランドの価値だけでなく、「M型レンズを使うことに最適化されたカメラである」という点にもあるように思います。

以下のサイトを見ると、ライカM EV1は「ユーザーからの強い要望を受けて」EVF内蔵モデルが企画されたようです。

「M型はMレンズを使うためのカメラ」という点に重きをおいて考えると、

  • M型ライカは過去のものを含めてMレンズを使うためのカメラとして製作されている
  • 過去のレンズは距離計内臓なので、基本的にはRFでここまで製作して来た
  • 背面液晶や外付けEVFにも対応し、ライブビュー撮影も可能となった
  • ユーザーからのEVF内蔵の要望に応え、RFではなくEVF内蔵モデルも選択肢として提示した

という流れで考えると、正当に進化しているのかな、なんて思いました。

他社製のミラーレスなどに比べて、使える性能の割に価格が異様に高い点には常に驚きますが、仮にコスト度外視でセンサー開発に勤しんでいるのだと考えると、そういうものか、という気もします。(価格と機能が釣り合うと感じるかどうかは別として…)

M EV1は、個人的には割高に見える

基本的な性能はM11と同じと考えると、比較すべき項目は以下の格好になるかな、と思います。

機能M11M EV1
Mレンズ対応
レンジファインダー×
EVF外付け内蔵
発売時価格118.8万円139.7万円

発売時期が異なるため、発売時の価格はレートの影響を受けていたりしてそのままの比較は難しいかもしれません。

「Mレンズを使うカメラに新たな選択肢が加わった」という点でM EV1は面白いと思えますが、表で比べてみたときに内臓EVFのために+20万円を支払えるかという点で考えると、私としては最初に買うM型として選ぶにはハードルが高い選択肢に見えています。

まとめ

今回、ライカM EV1が発表されました。

私はM型ライカを所有しているわけでもなく、近々買おうとしているわけでもない、ただ憧れているというだけの身分ではあるものの、発表されたM EV1について思ったことをつらつらと書き連ねてみました。

今回書いた内容は概ね以下のとおりです。

  • RFからEVFに移行したことで、M型の目立った特徴の1つを失った
  • M型ライカはフィルム用のMレンズの性能も引き出せることに特化したカメラであるという点を思い出したい
  • 他社ミラーレスと機能を比べるとM EV1は高く感じるが、Mレンズ特化の機能はM型だけ
  • M EV1の登場は、Mレンズ特化カメラの選択肢が増えたということに見える
  • ただ、RFを廃して内蔵EVFをつけることで+20万は、私には高く感じる

基本的には”カメラの技術的な知見は深くない素人の感想”という立ち位置のブログ記事ですので、間違いなどあれば優しく教えていただけますと幸いです(^^;)

最後までお読みいただき、ありがとうございました!